今回は、1950年前後の初期の生々しいシカゴ・ブルースを聴かせてくれる、チェスのオムニバス・アルバムです。
収録されているのは、どちらかというと知名度はそうでもない(失礼…)、6人のブルースマンなんですが、これがどの曲も聴き応え十分です。
「ドロップ・ダウン・ママ」
(Drop Down Mama)
手にしたのは、P-VINEから再発された国内盤の中古ですね。
収録ブルースマンは、ジョニー・シャインズ、ロバート・ナイトホーク、ビック・ボーイ・スパイアーズ、ハニー・ボーイ・エドワーズ、フロイド・ジョーンズ、ブルー・スミッティの6人。
※ジャケット画像はAmazonアソシエイトより。ジャケット裏の表記を見ると、録音は1949年から1953年に行われたもののようです。
ブルースマンそれぞれについて、ちょっと触れてみますね。
・ジョニー・シャインズ(2曲収録)
ロバート・ジョンソンと行動を共にしていた、という話題が先行してしまいますが、力強いヴォーカルで、ミシシッピ・デルタの流れのディープなブルースを聴かせてくれます。変な話、正統派ミシシッピ・デルタといった感じでしょうか。
バックが素晴らしく、リトル・ウォルター、ジミー・ロジャース、ビッグ・クロフォードが支えてます。
無茶苦茶濃いジャケット写真は、ジョニー・シャインズのようですね。
・ロバート・ナイトホーク(4曲収録)
単音弾きのスライド・ギターが素晴らしいですね。洗練されたバックの演奏に、巧みなスライドと落ち着いた雰囲気の粋なヴォーカルが実にいい味わいです。このアルバムの一番の聴き所は、この人の演奏といわれることも多いようです。
戦前はロバート・リー・マッコイの名で活動していたとのことです。
・ビック・ボーイ・スパイアーズ(2曲収録)
骨太の泥臭いダウン・ホーム・ブルースを聴かせてくれていて、実に濃いです。
・ハニー・ボーイ・エドワーズ(1曲収録)
アルバム・タイトル「Drop Down Mama」の1曲のみの収録ですが、どっぷりのデルタ・ブルースですね。
・フロイド・ジョーンズ(3曲収録)
これまた、バックにリトル・ウォルターとジミー・ロジャースの名前があり、バンド化した50年代初期のシカゴ・ブルース・サウンド、といった感じなのでしょうか。それにしても、リトル・ウォルターのハープは凄いです。
・ブルー・スミッティ(2曲収録)
今回の収録ブルースマンの中では、一番若いようで、そのギターと併せてちょっと趣きを異にする、重々しいマイナーブルースを聴くことができます。
という全14曲。
マディらのチェスのメインストリームではないけれど、初期のシカゴ・ブルースの魅力に溢れるオムニバス盤です。これはいいアルバムですね。
※Amazonアソシエイトプログラム等で紹介してますが、記事中のものと同内容でない場合もあるのでご了承願います。
※この記事は旧ブログ「アナログレコード回顧録」の記事を加筆・修正したものです(2016.3.22)