戦前ブルースといえば、まずはデルタ・ブルースを聴きたいところなんですが、昔はアルバム以外で曲を聴く機会はまずなかったですし、そもそも、戦前ブルースのアルバムを見つけること自体がかなり困難でした。
なので、オムニバス盤を見つけると、様々なブルースマンを聴くことが出来るのでうれしいんですよね。
もちろん、個々のアルバムを聴きたいのは山々ですが…
で、このアルバムには何と言ってもチャーリー・パットンとサン・ハウスの名前があります。
「Delta Blues – Vol.1(1929-1930)」(Document DLP 532)
パラマウントの1929年~1930年の録音を収録したものですかね。
デルタ・ブルースの創始者と呼ばれるチャーリー・パットンが「Elder Greene Blues」等3曲(1曲のみヴァイオリン入り)(1929年)。
低く太く力強いヴォーカルに、これまた力強くしっかりとリズムを刻むギターが説得力があってやっぱり強烈ですね。
ただ、ディープではあるけど、農場で皆に向けて歌われていたであろう、大衆的な香りもしてきます。
女性ブルース・ヴォーカル&ピアニストのルイーズ・ジョンソンが5曲(1曲はテイク違いが収録)(1930年)
ブギーのリズムも時折聴かれる、骨太ながらも比較的リズミカルなピアノ・ブルースですね。
サン・ハウスは1930年の録音の「Walkin’ Blues」1曲のみですが、スライドとウィリー・ブラウンのギターでこれぞデルタ・ブルースといった深みのある歌と演奏を聴かせてくれます。
そして、ジャクスン・ブルースを代表する2人。
トミー・ジョンソンが「Morning Prayer」等3曲収録(1929年)。
太くよく伸びる声とそのギターはゆったりとした素朴な雰囲気が漂います。1曲はニューオーリンズ・ニハイ・ボーイズとの演奏でクラリネットとピアノが加わってます。
イシュマン・ブレイシーが「Woman Woman Blues」の1曲のみ(1929年)。
トミー・ジョンソンとは違ったダミ声で、時々ファルセットを用いた歌は味があります。流れている空気感はトミー・ジョンソンと同様、素朴な感じでいいですね。
ジャクスン・ブルースはなんだかおおらかな感じがします。
チャーリー・パットンらのディープで強烈なブルースとは、また違った魅力がありますね。
デルタ・ブルースといっても様々ですが、このようなオムニバス盤は、聴く側としては戦前デルタ・ブルースの世界を広めるのに非常に助かります。
Vol.1というくらいですから、Vol.2とかもあるんでしょうが、それは知らないんです…
※いつものように、Amazon.co.jpのアソシエイトプログラムでCDを紹介しようと思ったのですが見つけられませんでした。
※この記事は旧ブログ「アナログレコード回顧録」の記事を加筆・修正したものです(2015.11.5)