ダグ・サーム。1941年テキサス州サンアントニオ生まれ。1999年11月18日没。
少年時代から音楽の天才だったようで、10代の頃から地元で活躍していたようです。
“キング・オブ・テックス・メックス”などとも呼ばれ、アメリカン・ルーツ・ミュージックを背景にしたその音楽は、何とも懐が深くて豊潤なんですが、日本での知名度は今ひとつなんすよね。
なので、アルバムを手にするのは結構大変でした。
そんな中、手にしたアルバムのうちのひとつが、サー・ダグラス・クインテット時代のこちらの2枚組のベスト盤です。
「Sir Doug’s Recording Trip」
発売自体は1989年で、中古の輸入盤を手にしました。
ダグ・サーム率いる、サー・ダグラス・クインテットの結成は1964年頃でしょうか(情報が少なくよく分からないんですよんね…)。
今回のアルバムは、サー・ダグラス・クインテット第1期とも言える頃の初期のアルバムからの選曲ですが、デビュー・アルバムとなる「The Best Of Sir Douglas Quintet」(1966年)からの曲は含まれてません。
収録曲は、2nd以降の以下のアルバムからです。
「Sir Douglas Quintet+2=(Honkey Blues)」(1968年)
「Mendocino」(1969年)
「Together After Five」(1970年)
「1+1+1=4」(1970年)
「The Return Of Doug Saldaña」(1971年)
「Rough Edges」(1973年)
テキサスを後にしてカリフォルニアへと移り、サンフランシスコでリリースした、サイケ色も感じられる、2枚目「Sir Douglas Quintet+2=(Honkey Blues)」(1968年)からは5曲。
テックス・メックス色が強くなり、カントリーっぽさも感じられる、キャッチーなタイトル曲を含む3枚目の「Mendocino」(1969年)からは6曲。
4枚目の「Together After Five」(1970年)は、基本テックスメックスの流れからフォーク・ロックといったサウンドを展開してますが、このアルバムからは2曲のみですね。
個人的には、手にできたオリジナル・アルバムが、ここまでの3枚だけなので、このベスト・アルバムを手にして、以降のアルバムの内容に触れることができたのは嬉しかったですね。
5作目の「1+1+1=4」(1970年)からは、Wayne Douglas(ウェイン・ダグラス)名義でシングル発売された「Be Real」など4曲が収録。
続く「The Return Of Doug Saldaña」(1971年)はサンアントニオに戻って作られたものですが、この頃バンドは解散状態だったとのことで、ルーツに還った実質ソロ・アルバムに近い作品のようです。このアルバムからは6曲収録。
そして「Rough Edges」(1973年)は、シングル「Dynamite Woman」と過去の未発表曲を合わせたアルバムで、その「Dynamite Woman」を含む5曲が収録されてます。
以上にシングルとしてリリースされたと思われる、「Michoacan」と「Westside Blues Again」の2曲を加えた、全30曲が収録されていて、聴き応え十分。
ルーツ・ミュージックがごった煮的で、曲によってはバタ臭く、一見、演奏は粗く聴こえるものの、実に気の利いたアレンジ。
迫力があり、時に唸るような、時に包み込むような、ダグ・サームの独特で魅力的な歌声。
サー・ダグラス・クインテットの、そして、ダグ・サームの初期の音楽をたっぷりと楽しむことができました。
※Amazon.co.jpのアソシエイトプログラムでCDを紹介していますが、もちろん記事中の所有のものとは同じものではないのでご了承願います。ちなみに当アルバムと「Rough Edges」は見当たりませんでした。
※このベスト・アルバムのジャケットは「The Return Of Doug Saldana」の写真と同じものですね。
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※Amazonアソシエイトプログラム等で紹介してますが、記事中のものと同内容でない場合もあるのでご了承願います。
※この記事は旧ブログ「アナログレコード回顧録」の記事を加筆・修正したものです(2016.3.17)