毎日観光客で賑わう小樽運河へは、私も時々出かけてその風景を楽しんでいますが(市民としては珍しいかも!?)、ご存知の通り、今の運河の姿になるまでには、紆余曲折あったんですよね。
先日、ふと子供の頃の、わずかに残る埋め立て前の小樽運河の記憶について思い起こす機会があったので、小樽運河について、個人的な思い出話を交えつつちょっと語ってみます。
まずは小樽運河の歴史についておさらい
小樽の象徴とも言える小樽運河は、今から100年前の大正3年(1914年)に着工しました。
完成は9年後の大正12年(1923年)です。
詳細は専門のサイトや書籍に任せるとして、その後、港はふ頭が整備され、運河は役目を終えて無用の長物と化し、全国を巻き込んだ運河論争の末、運河の北側はそのまま残し、幅半分を埋め立てして、現在の散策路を設けた運河の形となったんですよね。
小樽市のHPより引用させていただくと。
昭和61年、運河は、十数年に及んだ埋立てを巡る論争の末に一部を埋立て、幅の半分が道路となり、散策路や街園が整備された現在の姿に生まれ変わりました。
運河の全長は1140mで、幅は道道臨港線に沿った部分は20m、北部(通称:北運河)は当初のまま40mとなっています。
小樽市 : 小樽運河
ということで、1983年(昭和58年)に埋め立て工事に着手し、1986年(昭和61年)に小樽臨港線(北海道道17号小樽港線)が開通してます。
今となっては、それが小樽の重要な観光資源となり、ノスタルジックな街並と併せて、国内外から多くの観光客を呼び寄せているんですよね。
個人的な運河の思い出といえば
とまあ、ここまでは観光案内のような説明文になってますが、実は子供の頃の運河の思い出と言えば、臭かった思い出しかない、というのが正直なところで、その風景もあまり思い出すことができません。
運河論争が熱を帯びていた頃、私は中・高校生で、当時、運河問題と言われてもピンとこず、埋め立てた方が良いのか悪いのか、何が問題なのかも全く分かっていませんでした。
ただ、運河ではその風景の絵を描いている人が多かったので、子供心になんとなく小樽らしい場所なんだとも思ってもいました。
今は亡き父が勤めていた場所が、実は港の近くだったのですが、仕事の関係上、“運河を埋め立てて道路ができたら物流が助かる”、というような内容のこと言っていたのを覚えています。
その時私は、何故か“運河はあったほうがいい!”と訳も分からず反対したのを覚えています。
恐らく、皆が何となくだけど、運河は良くも悪くも小樽らしさなんだ、というのは思っていたのかもしれません。
父は別に埋め立て推進派だったわけではないでしょうが、当時は誰もが理想と現実のせめぎ合いがあったのでしょうね。
運河問題というか、街づくりそのものに一石を投じた、今でも語られる、市民の、それも若者による手作りの祭り、ポートフェスティバルの第1回が開催されたのが、1978年(昭和53年)7月でしたよね。
実はこのポートフェスティバルに、高校生の時に一度だけ、バンドで出演したことがありました。
その時も背景にある運河問題については全然分かっておらず、ただただポートフェスティバルというイベントに出演できた嬉しさだけしかないという、何とも幼い高校生でした。
そして、実際に運河が埋め立てられた時に、私は小樽を離れていて、遠くの街で(実は九州は福岡で)、そのニュースを目にしました。
見直される北運河
そして、運河は埋め立てられました。
そして、綺麗になり、臭くなくなりました。
幅は北側を除いて半分になり、散策路ができました。
私は今の小樽運河は大好きです。
たくさんの観光客が運河を背景に写真を撮り、カップルが運河横の散策路を手をつないで歩き、クルーズ船がのんびりと運河を行き交う。
埋め立て当時はお互い妥協案による結果で、納得のいくものではなかったのかもしれませんが、今となってはとても良い形で落ち着いたのではないかな、とも思ってしまいます。
そして今、埋め立て区域に入らず、今なお昔の運河のままの40mの幅をのこす、通称「北運河」が注目されているようです。
いや、運河好きの方なら、今に始まらず、昔ながらの姿を残す、北運河周辺はお気に入りだったはずです。
昔ながらの運河、両脇の倉庫群と北海製罐の工場群、運河北端の運河公園周りの静かで落ち着く空間、そして堂々たる姿の旧日本郵船(株)小樽支店。
北のウォール街を形成しているあたりの色内大通りは、ここ北側まで続いています。
旧手宮線跡の遊歩道は現在整備中で、旧日本郵船の建物の裏まで延びてきます。
今後、簡単ではないでしょうが、観光客で賑わう南側の運河から、さらに北運河の端までを活用した、運河一帯で観光客の方々に楽しんでもらえるような、そんな「小樽運河」になるといいですね。
そして、できれば、小樽市民も足を運びたくなるような、そんなスポットになってもらいたいです。
ということで、小樽運河について何となく、そして珍しく、ちょっと語ってみました。
小樽市民として、小樽運河にはいつでも注目していたいです。
【参考】
・小樽市 : 小樽運河
・小樽市 : 小樽市のあゆみ
・まちづくり観光(3) 小樽のまちづくり運動と観光
・小樽運河 – Wikipedia
・小樽観光大学校「おたる案内人」