「ムーンドッグ・マチネー」(Moondog Matinee)
1973年発表。前作のライブ・アルバム「ロック・オブ・エイジズ」に続く6作目ですね。
中古の輸入盤を入手したので、残念ながら、ジャケットを覆っていたイラストのポスターは付いてないんですよね。
全曲カヴァーで異色の一枚、なんて言われたりして、R&RやR&Bの偉大なミュージシャンの名曲を取り上げているのですが、見事にザ・バンドの音になってますね。
このアルバムの録音前は、バンドとしてかなり難しい時期だったようで、リチャード・マニュエルなんかも、かなりヘロヘロで危なかったようですね。
※ジャケット画像はAmazonアソシエイトより。そんな中で生まれたこのアルバムは、原点回帰であり、更には次へと進むための必要なステップだったのかな、なんて考えたりします。
アルバムを聴くと、バンド演奏の音があまりいじられてない、ナチュラルな音で、肩に力が入ってない実にいい感じです。
相変わらず、リヴォン・ヘルム、リック・ダンコ、リチャード・マニュエルの3人の歌声はいいです。
リヴォン・ヘルムは、A面1曲目の南部っぽさたっぷりの「流れ者(Ain’t Got No Home)」や、A面4曲目のプレスリーもカヴァーしたジュニア・パーカーの「ミステリー・トレイン(Mystery Train)」で気持ち良さそうに歌い放ってますね。
B面1曲目のチャック・ベリーの「プロミスト・ランド(The Promised Land)」もリヴォンのヴォーカルによります。
リチャード・マニュエルは、何といってもA面3曲目のボビー・”ブルー”・ブランドの「シェア・ユア・ラヴ(Share Your Love)」が最高ですね。
B面2曲目の「グレート・プリテンダー(The Great Pretender)」もですが、リチャード・マニュエルのヴォーカル、特にバラードは本当に染みてきます。
A面5曲目「第三の男(Third Man Theme)」はガース・ハドソンの見せ場ですよね。何ともいい雰囲気です。
それに、ガースの演奏は全編に渡って、見事にサウンドを支えてますね。
あまり目立ってはいませんが、ロビー・ロバートソンのギターは渋いバッキング(と、気の利いたちょっとしたソロ)に徹していて、改めて、ロビー・ロバートソンのギターの上手さを感じます。
アルバム最後は、リック・ダンコのヴォーカルによる、サム・クックの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム(A Change Is Gonna Come)」で、ファルセット気味のヴォーカルは秀逸です。
『流れ者のブルース ザ・バンド』(バーニー・ホスキンズ著 奥田祐士 訳)に載っていた言葉ですが、なるほど、さながら、
“魔法のジュークボックス”
ですね。どの曲も聴きごたえがあって、いいアルバムです。
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※Amazonアソシエイトプログラム等で紹介してますが、記事中のものと同内容でない場合もあるのでご了承願います。
※この記事は旧ブログ「アナログレコード回顧録」の記事を加筆・修正したものです(2016.1.31)
※ちなみに、こちらのジャケットがジャケットを覆っていたポスターのイラストです(ジャケット画像はAmazonアソシエイトより)。
※記事中の『流れ者のブルース ザ・バンド』(バーニー・ホスキンズ著 奥田祐士 訳)
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